ファンダメンタル分析の意義

前回まで説明してきたような株価変動モデルを踏まえて、
ここでは企業のファンダメンタルを分析することの意義とその使い方の概要を解説します。

 (1) ファンダメンタル分析の優位性

株式投資を行うに当たっては、前章までに説明したような株価変動要因のどこにポイントをおいて分析するか決める必要があります。
すでに見てきたように多くの要因が複雑にからみあって決まる株価に、何の戦略もなしに投資することは、お金をどぶに捨てるのに等しい行為となるためです。


まずは、前述の4つの株価変動要因のどれかに的を絞ることが賢明でしょう。その場合、それぞれに一長一短があります。
ここではその中で、企業のファンダメンタルを分析することの優位な点について考えてみたいと思います。


ファンダメンタル分析の最大の優位性は他人と差別化しやすいことです。
マクロ要因の予測も、株価の中期変動も短期変動も他人と差別化するのは容易ではありません。
ただし、ファンダメンタル分析で他人と差別化するためには、多くの人が継続的に見ている銘柄を選んでも無駄です。
それではマクロや株価変動と皆が観察しているという意味では同じになってしまいます。


特定の企業を比較的長期間見続けることによって、だんだんと自分の理解度が高まり、他人に対する優位性が増します。
ただし、業績が好調で株価が高い局面では多くの人がウォッチするようになりますので、
そういったときには必ずしも優位性が発揮できるとは限りません。
特に優位性が発揮できるのは人気がなくなったときです。そして、その後業績が回復に向かうときです。
そのためには継続的にウォッチすることが重要となります。


(2) マクロや株価変動の位置づけ

世の中には、個別銘柄に投資しているのにもかかわらず、日経平均TOPIXがいくらになるかを常に真剣に知ろうとしている人が多くいます。


確かに、マーケット全体がどう動くかがわかれば、個別銘柄も当てやすくなるためですが、
そうは言っても個別銘柄を当てることより、マーケットを予測することの方がずっと複雑で難しいのです。


もちろん、マーケット全体のことを理解しておけば、安心感があるという位置づけを理解して行っているのなら話は別です。
しかし、講演会などでも、全体を見るのは難しいので個別からアプローチしていますと説明しているにもかかわらず、
日経平均は10,000万円行くと思いますか、とか聞かれると、本当にこの人は何もわかっていないんだなと思ってしまいます。

これはいくら考えても当たるものではないし、誰かの意見を聞けばずばずば当ててくれるものでもないのです。
また多くの人の意見を聞いて多数派についたとしてもそれで当たるわけでもありません。
そもそも変動要因が多すぎて終わったことを理解するだけで日が暮れてしまうものです。

そこで、市場全体についてや株価変動については日経紙の株式市況欄に目を通す程度でいいのではないかと思います。
もちろん、余裕ができればそれ以上のことを理解しようとしてもいいのですが、
投資対象の企業のことを理解することに力を注いだ方がずっと成果は出やすいものです。

 (3) 難しい長期トレンドの予測


3月1日付のブログでは、一口に企業のファンダメンタルと言っても、長期のトレンドと中期の循環があることを述べました。
参照記事:http://cherry2910.hatenablog.com/entry/2017/03/01/224131
それでは、ファンダメンタルを分析する場合、どこに焦点を当てて分析すべきでしょうか。


しばしば、株式投資の入門書を見ると、必ずと言っていいほど、長期投資のメリットが述べられています。
そのような場合、過去の成長企業を取り上げて、30年前にこの株に10万円投資したら、
その後の30年間で5,000万円になっていますというような話があります。
そして、それこそが株式投資の最大の魅力と述べていることが多いものです。


しかし、株式投資の魅力の例としては、実はこの長期投資というものは、わかりやすい反面、非常に誤解を招く表現になっています。

1989年までの日本のように、経済が長期的に右肩上がりに成長し、
平均株価が大きく上昇するような環境であれば、爆発的に上昇する株に当たる可能性も高かったと思います。
たとえば、1969年12月末から1989年12月末のTOPIXは20年間で約16倍になっています。年率に直せば約15%の上昇です。

片や1989年12月末から2009年12月末までのTOPIXは20年間で約3分の1になっています。年率に直すと6%の下落になります。
つまり、20年間で16倍になった市場と20年間で3分の1になった市場を同じ尺度で測ろうとしていることになります。


それでも10年、20年の間に10倍、20倍になる株はあることでしょう。しかし、事前にそれを予測することは極めて困難です。
そもそも10年、20年で10倍、20倍になると言っても、コンスタントに上昇してそれが達成されるわけではありません。
半年で2倍、3倍になるときもあれば、逆に半年で半値になることもあります。
その間、その企業の業績に対する見方もそれだけ大きく変わっているということです。


そのような状況で自信を持って保有し続けることには大きな困難が付きまといます。
それゆえ、企業を長期の成長という切り口で分析するのは非常に難しいことになります。

一方、成長という観点とは別の意味での長期投資は今でもそれなりの意味を持っていると考えられます。

前回も触れましたが、米国における超長期の分析によれば、
株式のリターンは純資産の増加と配当利回りの合計値に等しいものとなっていることからも、
株価の長期トレンドの主因は企業業績であることがわかります。

ただし、これは高成長企業を念頭においたものではありません。
たとえば、毎年コンスタントに利益を稼ぐことができ、PBRが低ければいいのです。
仮にROEが10%の企業で、PBRが1であれば、毎年10%のリターンとなります。
地味ですが、これでも10年で倍以上になりますので、実は非常に効率的でリスクの小さな資産運用法と言えましょう。
もちろん成長しなくてもいいのですが、想定した収益を稼ぎ続けられる力量があるかどうか判断する分析力は必要となります。


さて、ここまで見てきましたように、最後に述べたケースを除けば、
長期的な成長株を探すことや成長株に投資して長期で高いリターンを狙うことの困難はご理解いただけたのではないでしょうか。
そこで、特にファンダメンタルの分析対象とするものは残った中期的な循環あるいは中期的な成長を念頭に置くということになります。

そのやり方については次回以降でじっくり解説して行きます。


 

ファンダメンタルとは無関係な株価変動

株価は前回説明したファンダメンタル要因の変化だけで動くわけではありません。
むしろファンダメンタルに依存した株価変動は中長期的なものであり、
より短期的にはやや循環性のある中期変動、
およびランダムな短期変動という株価のブレとも呼べる価格変動要因があります。


株価の中期循環

まず、株価の中期循環(D)と株価の短期変動(E)のグラフを示します。
株価の中期循環は、機関投資家の資金事情、信用取引や配当の影響によると考えられます。

 

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機関投資家では、資金の性格によって資金が入ってくる時期が決まっているため、
売り買いがそれによって影響を受けることがあります。
また、ファンドの決算期が12月や3月に集中していることから、
そのことによっても株価は影響を受けることになります。

一方、信用取引は仮需であり、6ヶ月以内に決済しなければなりません(6ヶ月信用取引の場合)。
それによっても循環が生じることがあります。

これらはともに上昇局面と下落局面でレスポンスが異なるため、
その時々で影響の現れ方は異なります。
また、昨今は配当利回りが高くなっているため、
配当目当ての株の売り買いというものもあります。
これらが複合的に影響して、中期循環が生じると考えられます。

ランダムな株価変動

株価のベースになるファンダメンタルはあらゆる経済現象の動きの結果であり、
その日々の変化はあまりに多様であって、誰もその全体の変化を日々正しく認識することはできません。


しかし、それらが断片的にデータとして目に見えるものになり、
ニュースになって多くの人の耳目に入ると、
個々の投資家がそのニュースに反応して株式市場でも行動を起こします。
それによって株価が変動すると、その株価の動きを見て行動を起こす人もいます。


これが株価の瞬間、瞬間のランダムな動きと考えられます。
つまり、今日1%上昇したとして、
それが何か意味のあるファンダメンタルの変化を正確に反映したかというと、
必ずしもそうではないことが多いのです。
その結果、翌日には1%下げて元の水準に戻ることもしばしば起こります。


これが、株価のランダムな変動ということになります。
その結果、ファンダメンタルは多様な動きではありますが、
緩やかな動きであるにもかかわらず、株価は日々めまぐるしく動くことになります。
しかし、必ず最後はファンダメンタルが示す位置に収束するのが株価というものです。


実証研究からの裏付け


日々の株価変動はここまで説明したような様々な要因が積み重なったものです。
もちろん、これらはその時点においてそれぞれを分離して表せるものではありません。
また、現実の株価はここで述べた以外の要因によっても影響を受けるため、さらに複雑な動きとなります。


しかし、さまざまな研究データから見ると、
このように株価変動を考えると理解しやすいという面があるのです。
多くの分析事例を羅列しても混乱するので、簡単な例を示すことにしましょう。


米国における超長期の企業のファンダメンタルと株式のリターンの研究によると、
株式のリターンはほぼ純資産の成長と配当で説明できるという分析データがあります。
この分析では企業のファンダメンタルと無関係な株価変動は、
長期的には株式のリターンには無関係であることを意味しています。


もちろん、株価は日々変化していますので、このランダムな株価変動で儲けようという人も多くいます。
しかし、これらはまさにランダムですから、日々の株価を追いかけて儲けようという行為は、
結局は合法的なギャンブルということになります。
古来より、ギャンブルで資産を形成した話は滅多にありません。
それゆえ、株は危ないと一般的に思われているわけですが、
大多数の人がランダムな動きに賭けるギャンブルを行っているのですから、それは当然でしょう。

当ブログではそのようなランダムな動きとは一線を画して、
基本的に企業のファンダメンタルを重視して株式投資でリターンを得る方法を解説します。

 

株価とファンダメンタルの関係

 

株価は、企業のファンダメンタル、世界経済や金融情勢などのマクロ環境、
そして短期、中長期の株価変動によって動いています。
これらの関係を理解することから始めますが、
まずは企業のファンダメンタル及びマクロ環境と株価の関係から見ることにしましょう。

(1) 企業のファンダメンタルと株価

個々の企業の業績による株価変動は長期トレンド(A)と中期循環(B)
に分けることができます(A、B、C・・・の記号は図中の記号を示しています)。

 

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Aの業績のトレンドは右肩上がりの成長企業を例にとって示していますが、
当然右肩下がりの企業や、横ばいの企業もあります。
株式投資のうち長期投資はこの長期トレンドで儲けようというものになります。

しかし、実際問題としてはこの長期トレンドを予測することは非常に難しいものです。
この辺りはもう少し先で詳しく述べたいと思います。

Bは個々の企業ごとの業績の中期的な循環による株価の変動を示しています。
私の解説するファンダメンタル分析は主にこの中期循環と株価の関係を見ようというものです。

企業ごとの業績は、いろいろな外部環境に影響を受けます。
その外部環境と企業の業績の関係を見つけ出す作業が、株で儲けるためには非常に役に立ちます。

(2) マクロ環境と株価変動

個々の企業の業績は何らかの形でマクロ環境の影響を受けます。
マクロ環境とは世界の景気や日本の景気、為替の変動や原油価格の変動などのことを指します。

企業の業績がマクロ環境の変動の影響を受けるのですから、
個々の企業の株価は企業業績を通じてマクロ環境の影響を受けていることになります。

しかし、それとは別に市場全体は世界的な金融情勢の影響を強く受けます。
この変動は株価に対する長期的な影響は小さいと思われますが、中期的には大きな影響を与えます。
これが金融情勢の変化による株価の変動(C)です。

つい最近あったリーマンショックのような金融危機では、世界的に金回りが収縮するため、
株価は企業の実態価値を大きく下回って売られることになります。
これは、世界景気の悪化によって企業業績が悪化すること以上に株価が売られることを意味しています。

逆に、1980年代末の日本のように超金融緩和状態になると、
株価は企業の実態価値以上に大きく上昇し、いわゆるバブル状態となります。
しばしば、不況で企業業績が厳しいにもかかわらず、株価が上昇することがあります。
このいわゆる、不況下の株高と言われるものの背景も金融緩和です。

これは投資資金の逃避先という面からも解釈することができます。
つまり、お金を何で運用するか考えた場合、不況が続きそうであると考えれば、
直接、事業に投資しても見返りが期待できないですし、リスクも大きなものとなります。
そこで、資金を株式投資に向けるということです。

(3) ファンダメンタルとは無関係な株価変動

以上のA、B、Cの要因によって決定される株価を(A+B)*Cのグラフに示しました。
ここまでが、ファンダメンタルに依存した株価の変動となります。
なお、ファンダメンタルはここまで示したように大きく分けて企業業績と金融情勢の二つの要因を含みますが、
前者の企業業績だけをファンダメンタルと表現することもあります。

このようなファンダメンタルに基づいた株価変動がベースにあって、
そこにかく乱要因としてそれらのファンダメンタルとは別の短中期の株価変動が加わり、
現実の株価は決定されていると考えられます。

次章ではそのファンダメンタルとは無関係な株価変動について述べます。

 

株式投資のノウハウ「中級編」スタート

前回までは株式投資「初級編」でした。
株式投資を始めたばかりの初心者が、右も左もわからない中で、リスクを回避しながら銘柄を選択する方法について解説しました。


ここから「中級編」になります。
基本的なコンセプトは株価と企業業績の関係、企業を調べることと株式投資との関係、そして企業分析の初歩になります。


企業を調べることの意味

株式投資はそびえたつ最高峰への登山にたとえることができます。
8合目から上はプロの世界としましょう。

まずは、株式投資の8合目を目指します。
そのとき最も重要なことはとにかく途中で遭難しないことです。

8合目までの道のりには多くのルートがあります。
一直線に断崖絶壁を登る道。うっそうと木が茂るジャングルを、枝をかき分けて進む道。
これらは比較的8合目までの距離は近いのですが、事前に十分な準備と天候や気温の調査などが欠かせません。

そのほかには登山道をゆっくりと登る道もあります。それも1本ではなく何本もあります。
そして、そのどれもがいくつかのバリエーションがあります。

このように株式投資の方法論にはいくつもの道があります。
それらの方法論の違いには、まず8合目までたどり着ける確率の違いがあります。

ゆっくりですが、一歩一歩確実に8合目に近づく方法もあれば、
一度足を踏み外すと立ち直れなくなるような方法もあります。

その中でこのブログはファンダメンタルを中心に据えて、株価との関係を考える方法を解説するものです。
時間はかかりますが、これは一歩、一歩着実に8合目に近づく道です。


企業分析の基本


いきなり企業分析と言ってもなかなかハードルは高いものです。
その中から無理なく始められる企業分析の基本を解説します。
企業情報の入手方法、グラフの作成方法、長期業績変動の把握方法などです。

さらに現状をしっかりと把握するためには、最近の短期的な業績変動を観察する必要があります。
そこで、そのためのツールとして、業績表の作り方を解説します。

また、業績の先行指標である月次データの取得法、活用法についても解説します。

それでは始めることにしましょう。

 

初級者はチャートの世界に近づくな

この辺りで、まずは初級編を終わりにしたいと思います。
そこで、初級編の最後に当たって、ちょっと大切な考え方をお話ししておきます。
それは初心者の内にはチャートで株価を考える見方はしない方がいいという話です。

「パターン=規則性と考えてしまう間違い」について

物事を説明するのに絵や図を使うと非常にわかりやすく説明できます。
しかし一方で、絵や図は理論をごまかしやすい部分や錯覚しやすい部分があります。
株価のチャートもそのような性格を持っています。

数多くの銘柄の株価チャートを眺めていますと、いくつかのパターンが見えてきます。
パターンがあるということは、そこから規則性を発見できれば、
株式投資で利益を得ることができると考えがちです。

往々にしてパターン=規則性と考えてしまいますが、実はパターンと規則性は全く別物です。
株価の変動の本質を分かっていない人にとっては、株価変動はほとんどブラックボックスの世界です。
そこに見える一縷の光がチャートとなりますので、どうしてもすがりたくなります。
でも最初のうちにそれだけは避けてください。


「検証で否定される規則性」について

たとえば、彗星の軌道にはパターンがあります。
そこで、そのパターンを分析することによって、規則性を発見することができます。
自然科学の場合は、パターンから規則性が発見されることが多いものです。

一方、社会科学の場合のパターンには景気循環があります。
そしてそこからジグラー、コンドラチェフといった循環が主張されています。

そうであるならば、株価にも規則性があってもおかしくはありません。
私もそれを全面的には否定しません。

ところが、前2者のケースとチャートでは根本的に異なる部分があります。
それはそのパターンの背景にある理論的裏付けに対する理解の深さです。

つまり、彗星の場合であれば物理学の知識があって初めてパターンから規則性が発見でき、
景気循環も経済という社会科学の知識や実証例があって初めて規則性が主張できるのです。

ところが、往々にして個人投資家がチャートにはまり込むパターンは、
過去の価格変動だけから将来を予測する方向へ行ってしまうのです。

ここが、前2者と根本的に異なる部分で、説明変数に過去の価格しかないのです。
しかし、過去の価格は将来の価格を説明しないということは、多くの学者によって証明されているのです。

証券の世界にはチャートの専門家もいます。
彼らの多くは、チャートはアートだと言います。
つまり、チャートは物事を説明しやすくする道具立てであって、
最後の銘柄選択はそれ以外の知識で行っているのです。

「神話好きはいいけれど、投資には向かない」

繰り返しになりますが、株価の変動の本質を分かっていない人にとっては、
株価変動はほとんどブラックボックスの世界です。
そこに見える一縷の光がチャートとなりますので、どうしてもすがりたくなります。

大昔の人々が錬金術にはまってしまったのと似ています。

別にたとえて言うならば、星座の世界です。
昔の人々は星を見て、農作業の時期を決めていました。これはまさに科学で、規則性のあるものです。

一方で、星座という考え方があります。
これは実は科学ではなくロマンです。
つまり、星座を形成する一つ一つの星は地球から見て同方向に見えるだけで、星同士はまったく無関係です。
しかし、その星座がギリシア神話の神々と結びついて、無数の物語が語られています。
それだけ、パターンは人を魅了します。

そのようなロマンを追求するのはいいのですけれども、ロマンで飯は食えないのも事実なのです。
同じ楽しむのであれば、何回か前に解説した配当金や株主優待の方が、実利がある分、かなりましです。

くれぐれも、初級者はチャートの世界、神話の世界には近づかないでください。
はまってしまったら、生きては帰ってこられなくなってしまいますから。

 

さて、ここまでが株式投資の初級編になります。

いかがでしたか。次からは中級編になり、もう少し難しくなります。

このまま進んでもいいですし、ここで一服するのもいいでしょう。

そこで、一服する方を選んだ人に、せっかくですので向こう10年で5倍、10倍になる可能性のある会社を紹介します。たぶん、あまり知らないのでしょう。業種を聞くと、なんでそんな会社が大化けするのかと思うような業種です。

しかし、もう数年で誰もが知る会社になります。

こちらからレポートがダウンロードできますので、じっくりとご覧ください。

なお、この文章は、2021年10月27日に更新しています。

資産を作ろうと思うなら、ぜひともこのタイミングで買っていただきたい銘柄です。 - cherry2910’s diary


 

PERをチェックする

前回はPBRについて解説しましたが、今回はPBRと並んで重要なPERについて解説します。


PER(株価収益率)は株価を一株当たり利益(以下EPS)で割ったものです。

本来はPBRよりPERの方が指標としては重要です。
しかし、PBRの計算分母であるBPSは年によってあまり大きく変動しませんが、
PERの分母であるEPSは年によって大きく変動します。

よって、PERの場合はその時点で計算できるEPSが単純には使えないため、それをチェックする必要があります。
しかし、これはチェックポイントが多く、初級コースですべて網羅するには厳しいものがあります。

上級になれば自分で業績表を作って当期の会社予想のEPS、自分の当期予想EPS、
次期予想EPSなどからPERを計算することもできます。
ここまでできるようになれば、現時点のPERが正確に把握でき、投資の精度が一段と上がります。

詳しくは先に行って中級編、上級編で解説するとして、ここでは初級向けの解説にとどめます。

まず、PERの計算の分母となるEPSはいつのEPSかということがあります。
PBRの分母となるBPSはほぼ前期末のBPSで統一されていますから、あまり問題になることはありません。

EPSの場合、基本的には今期予想EPSを用いますが、インターネットでデータを取ると、
前期EPSを用いていることがあるので注意が必要です。
EPSは期によって大きく変動しますので、終わった期のEPSを使ってもあまり意味がありません。

 
予想PERを使う場合のもう一つの問題は、予想EPSは予想利益から求めるわけですが、
その予想が誰の予想かということも問題になります。
本来は自分で予想を作らなければなりませんが、それは上級者でも訓練しないと難しいものです。
そのため、一般的には会社予想や市場の平均値を使うことになります。

PBRをチェックする

それではそろそろ株を買って儲けるための基本的な知識に入りたいと思います。
ここでは、いくつかの観点から、株価の下落リスクが小さく、上昇率の高そうな銘柄を探す方法を説明します。

まずは、株価の割安、割高を判定する指標としてPBRとPERについて解説します。

PERとPBRはとても簡単な指標ですから、株式投資を行う上でとても役に立ちます。
ただし、PERやPBRは多くの人が簡単に使っていますが、突き詰めていくと実はとても奥の深い指標です。

まずは株式投資の初級編ですので、世間一般で使っているような簡単な解説をするにとどめます。
より、高度な使い方は先に行ってから解説します。

まずは、PBRですが、これは株価純資産倍率とよぶ指標です。
企業の純資産は全財産から借入金や買掛金などの他人のお金を除いた純財産のことです。
この純財産を発行しているすべての株数で割ったものを一株当たり純資産と言い、BPSと表現します。
株価をこのBPSで割れば株価純資産倍率、つまりPBRを求めることができます。

純資産は解散価値とも言われて、今、企業を止めて、資産を売却したら手元に残る現金という意味もあります。
そのため、PBRが1を割れているような企業は割安と表現されることもあります。
ある部分それは正しいのですが、そのことと株を買って儲かるかは別問題になります。

ポイントは、その資産を使って経営者がどれだけの利益を上げられるかということになります。
つまり、100の純資産を使って、5(つまり5%)の利益を世の中が期待しているとして、
5の利益を上げられるのなら、PBRが1を下回っていれば割安です。

しかし、100の純資産を使って2の利益しか上げられないのなら、
純資産は100と評価されないのは当然で、場合によっては30、40の評価、つまりPBRは0.3にも0.4にもなるのです。

そのため、それぞれ業界トップを選んだほうが無難なことが多いのです。
どんな業界でもシェアが高いトップ企業は利益を上げやすいためです。