株価とファンダメンタルの関係

 

株価は、企業のファンダメンタル、世界経済や金融情勢などのマクロ環境、
そして短期、中長期の株価変動によって動いています。
これらの関係を理解することから始めますが、
まずは企業のファンダメンタル及びマクロ環境と株価の関係から見ることにしましょう。

(1) 企業のファンダメンタルと株価

個々の企業の業績による株価変動は長期トレンド(A)と中期循環(B)
に分けることができます(A、B、C・・・の記号は図中の記号を示しています)。

 

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Aの業績のトレンドは右肩上がりの成長企業を例にとって示していますが、
当然右肩下がりの企業や、横ばいの企業もあります。
株式投資のうち長期投資はこの長期トレンドで儲けようというものになります。

しかし、実際問題としてはこの長期トレンドを予測することは非常に難しいものです。
この辺りはもう少し先で詳しく述べたいと思います。

Bは個々の企業ごとの業績の中期的な循環による株価の変動を示しています。
私の解説するファンダメンタル分析は主にこの中期循環と株価の関係を見ようというものです。

企業ごとの業績は、いろいろな外部環境に影響を受けます。
その外部環境と企業の業績の関係を見つけ出す作業が、株で儲けるためには非常に役に立ちます。

(2) マクロ環境と株価変動

個々の企業の業績は何らかの形でマクロ環境の影響を受けます。
マクロ環境とは世界の景気や日本の景気、為替の変動や原油価格の変動などのことを指します。

企業の業績がマクロ環境の変動の影響を受けるのですから、
個々の企業の株価は企業業績を通じてマクロ環境の影響を受けていることになります。

しかし、それとは別に市場全体は世界的な金融情勢の影響を強く受けます。
この変動は株価に対する長期的な影響は小さいと思われますが、中期的には大きな影響を与えます。
これが金融情勢の変化による株価の変動(C)です。

つい最近あったリーマンショックのような金融危機では、世界的に金回りが収縮するため、
株価は企業の実態価値を大きく下回って売られることになります。
これは、世界景気の悪化によって企業業績が悪化すること以上に株価が売られることを意味しています。

逆に、1980年代末の日本のように超金融緩和状態になると、
株価は企業の実態価値以上に大きく上昇し、いわゆるバブル状態となります。
しばしば、不況で企業業績が厳しいにもかかわらず、株価が上昇することがあります。
このいわゆる、不況下の株高と言われるものの背景も金融緩和です。

これは投資資金の逃避先という面からも解釈することができます。
つまり、お金を何で運用するか考えた場合、不況が続きそうであると考えれば、
直接、事業に投資しても見返りが期待できないですし、リスクも大きなものとなります。
そこで、資金を株式投資に向けるということです。

(3) ファンダメンタルとは無関係な株価変動

以上のA、B、Cの要因によって決定される株価を(A+B)*Cのグラフに示しました。
ここまでが、ファンダメンタルに依存した株価の変動となります。
なお、ファンダメンタルはここまで示したように大きく分けて企業業績と金融情勢の二つの要因を含みますが、
前者の企業業績だけをファンダメンタルと表現することもあります。

このようなファンダメンタルに基づいた株価変動がベースにあって、
そこにかく乱要因としてそれらのファンダメンタルとは別の短中期の株価変動が加わり、
現実の株価は決定されていると考えられます。

次章ではそのファンダメンタルとは無関係な株価変動について述べます。