企業分析の具体的作業

この章からいよいよ企業分析の具体的作業について解説します。

【企業分析でまず目指すこと】

企業分析の具体的作業に入る前に株式投資に役立つ企業分析とは、本質的部分で一体何を分析するか十分理解しておく必要があります。
将来の株価を決めるのは、将来の業績です。
それでは、将来の業績をいきなり予想できるのかというと、それは不可能です。

それではどうするかというと、まず過去を分析することから始めることになります。
ただし、結論から言ってしまえば、過去をどれだけ分析しても、正しく未来を予想することはそう簡単ではありません。
そのため、初めからあまり未来を予想しようと思わないことがいいでしょう。

一見、アナリストは業績を予想して、株価を予想しているように見えます。
確かに、当たりもしない業績予想を熱心に行っているアナリストがいないことはありません。
しかし、優秀なアナリストは、業績予想を真剣にやっている振りをすることはあっても、
本当は予想をしていないことが多いものです。それは、結局予想は誰がやっても外れるためです。

それでは、一体過去を分析して何を求めるのかという疑問が生じると思います。
それは、過去を分析して、業績変動の規則性を発見したり、
業績変動の要因を分析し、それらと株価の関係を分析するのです。
業績変動の要因とは、その企業の業績変動に影響を与える大きな外部ファクターということになります。

ただし、外部ファクターを発見したとしても、それが周知のもの、
例えば輸出企業と為替、船会社と海上運賃、鉄鋼市況と鉄鋼株などでは、あまり役に立ちません。
なぜならば、それらは大方のプロが知っており、間をおかず株価に反映されてしまうためです。

結局、その関係を使って株価を当てるためには、為替や市況を予測しなければなりません。
しかし、為替や市況はむしろ株価より予測が難しいわけですから、意味がないことになります。

また、企業の将来を考える場合、重要なこととして、
経営の分析というものもありますが、これはかなり上級者ではないと難しいものです。
オーナー企業であれば、その経営者の力量を見極める必要があります。
一方、サラリーマン社長の場合、経営者個人よりも経営体としての企業そのものを分析対象としなければなりませんが、
これはさらに難しいものとなります。

【データをダウンロードする】

それではキユーピーを例として、企業分析の作業に入りましょう。
まず、財務データを見るのですが、なるべく長期間のデータが比較できることがベストです。
財務データには損益計算書と貸借対照表があります。

どんな会社かを見る場合、貸借対照表のチェックは欠かせないのですが、
それと株価の関係は必ずしもシンプルではありませんので、まずは損益計算書の分析から入ります。
もちろん、貸借対照表の分析も決しておろそかにはできないのですが、
ここではあえてその必要性が小さい会社を選んでおり、貸借対照表の見方はまた改めて行うことにします。
まずは貸借対照表に問題がないという前提で話を進めます。

ということで、長期間の損益計算書を見るのですが、キユーピーの場合かなり親切でして、
財務・業績のハイライトから財務データがエクセルファイルでダウンロードできます。
なお、そもそもお使いのパソコンにエクセルのアプリケーションが入っていない場合はできません。
(企業分析マニュアル(1)P.6)
企業分析マニュアル(1)はこちらからダウンロードできます。

http://cherry100.mods.jp/open/text1.pdf

【グラフを作る】

次にダウンロードしたデータを使って、マニュアルを参考にしながらグラフを作ってみてください。
(企業分析マニュアル(1)P.8から)

ただし、マニュアルに示しているパソコン画面は、ソフトやバージョンによって異なるので、
マニュアルと全く同じとは限りませんのでご注意ください。